公開日:2019/09/30 最終更新日:2020/01/20

不動産の生前贈与に節税効果はある?ない?

不動産投資をしている方の多くは様々な節税対策を行っているかと思います。

不動産投資は相続税対策になると言われていますが、不動産を贈与する「生前贈与」とどちらが節税効果を発揮するのでしょうか?
不動産の生前贈与に節税効果はないと言われる事は多いですが、場合によっては相続よりも贈与の方が節税する事が可能です。

今回は、相続と生前贈与との違いをご説明しながら、不動産の生前贈与に関するメリットやデメリットをご紹介していきます。

生前贈与と相続の違い

生前贈与と相続は、どちらも「自分の財産を他者に与える」ことですが、生前に与えるのか、死後に与えるのかで税率やメリット・デメリットが大きく異なってきます。

税率の観点で説明しますと、

  • 贈与税の基礎控除額:1年間で110万円
  • 相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

上記の基礎控除を超える部分に贈与税、相続税がかかります。

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

(“国税庁『相続税の税率』”より引用)

贈与税(暦年課税)の速算表

課税価格 一般税率 特例税率
税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% - 10% –
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円
1,500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
3,000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
4,500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

※特例税率:両親や祖父母等の直系尊属から贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の受贈者に適用されます。

贈与税(相続時精算課税)

60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子もしくは孫に財産を贈与した場合選択できる制度です。相続時精算課税では、受贈者が受け取った財産から2,500万円の特別控除額を差し引いた金額に対して一律20%の税率で贈与税額を算出します。

なお、贈与者が亡くなった際には、相続財産の価額に贈与財産の価額(贈与時の時価)が加算されて相続税を算出します。

投資物件を生前贈与するメリット

誰にでも不動産を贈与できる

相続では、遺言で「誰にどれほど財産を相続するか」を明記していたとしても、遺留分があるため遺言通りに財産を相続できないケースがあります。

それに比べて生前贈与では「いつでも、誰に財産を贈与しても良い」ため、自分が選んだ相手へ、確実に不動産を贈与する事ができます。もちろん、相続権のない方に不動産を贈与する事も可能です。

贈与する時期も自分で選ぶ事ができますので、将来的に価値が高くなる不動産を生前贈与すると節税になります。

受贈者が家賃収入を得られる

早めに投資物件を贈与することで受贈者が家賃収入を得られる期間が長くなります。
それだけでなく、生前に贈与しておけば受贈者に引継ぎやアドバイスをしながら経営する事ができるのです。

相続でいきなり投資物件を引き継いでも被相続人に賃貸経営のノウハウが無ければ、期待通りの家賃収入を得られないでしょう。生前贈与ではそういったリスクを軽減できるのです。

不動産を生前贈与するデメリット

相続税よりも税率が高い

冒頭でご紹介したように、贈与税の税率は相続税の税率よりも高いことから、ほとんどの場合は贈与よりも相続した方が金銭的な負担はかからないと言えます。

ただ、不動産評価額によっては相続よりも贈与がお得になる可能性もありますので、詳しくは税理士に相談するのがベストです。

諸費用の負担が大きい

生前贈与で受け取った不動産の名義変更をする際には、登録免許税や不動産取得税などの諸費用が生じます。登録免許税は固定資産税評価額の2%、不動産取得税は固定資産税評価額の1.5%となっており、相続で不動産を引き継いだ時よりも負担が大きいのです。

相続によって不動産を引き継いだ場合には不動産取得税がかからず、登録免許税も課税価格の0.4%となっています。

贈与税だけで相続か生前贈与どちらが得かを考えるのではなく、不動産取得で生じる諸費用も考慮する事が大切です。

不動産の生前贈与に節税効果はある?ない?

不動産の贈与に関して、ほとんどの場合は相続を選択した方が節税効果は大きくなります。基礎控除額が大きいため課税価格は低くなる傾向にありますし、税率も贈与より低いためです。

とは言っても、生前贈与に全く節税効果が無いというわけではありません。将来的に確実に不動産価値が上がる財産を保有している場合には評価額が安いうちに贈与しておいた方が得をするでしょう。それ以外でも不動産評価額によっては生前贈与を選択した方が良いケースもあります。

生前贈与と相続、どちらに節税効果があるのか判断するのは素人では分かりにくい部分がありますので、担当の不動産業者や税理士に贈与・相続に関して相談しておくべきです。

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