金融機関の「貸し渋り」「貸しはがし」とは?

バブル崩壊後の平成不況では、大不景気のなか金融機関の貸し渋り・貸しはがしが起こり、数多くの企業が倒産していきました。
近年は耳にする機会が少なくなりましたが、再び貸し渋り・貸しはがしが起きる可能性は捨てきれません。
貸し渋り・貸しはがしをきちんと理解し、対策できるようにしましょう。
貸し渋りとは
貸し渋りとは読んで字のごとく、「金融機関が個人や企業への融資を渋ること」です。
融資をする際には審査があるため、返済能力がないと判断された方は融資を受けることはできません。金融機関がきちんと審査をして融資をしないと判断することは貸し渋りではなく、ごく自然なことです。
職業や年収、自己資金など借り手に何ら問題がなく、返済能力が備わっている場合でも融資を渋られることを貸し渋りと言います。
また、融資をするにあたって返済期間や金利などの融資条件を厳しくすることで個人や企業が融資を受けにくい状況を作り、貸し渋りをすることもあります。
マイホームを購入する時や事業を立ち上げる時などに金融機関から融資を受ける方は多いため、融資を渋られるとその後の計画は進みません。
しかし、個人や企業がいくら金融機関に融資をして欲しいと言っても、融資するかしないかの決定権は金融機関にあるのです。
貸し渋りによって企業の倒産が相次ぐなど社会的な問題はありますが、金融機関が融資を拒否してはいけないという法律はないため、貸し渋りにおいては借り手よりも金融機関の方が優位な立場にあります。
貸し渋りが起きる原因
金融機関は個人や企業に融資をすれば金利という収益が得られるにもかかわらず、貸し渋りをする理由とは一体何なのでしょうか。
一般的に貸し渋りは「不景気」に顕著に起きる傾向があります。この不景気こそが、金融機関が貸し渋りをする原因と言えます。
不景気には企業の経営悪化や倒産が起こりやすいため、金融機関は返済してもらえないリスク…つまり、不良債権のリスクを避けるために貸し渋りをします。
金融機関は貸し渋りによって融資を減らすことで自己資本比率を上げ、経営を安定させようとするのです。
貸しはがしとは
貸しはがしとは「融資をした個人や企業に対して、返済期限前に返済を迫ること」です。
借り手からすると返済期限前なのに一括返済を求められるなんて理不尽な話ですし、債務者は期限の利益で守られているため、基本的に金融機関は返済期限前に返済を迫ることはできません。
期限の利益とは「債務者は返済期限がくるまで債務の履行を行わなくても良い利益」のことです。この期限の利益の観点から、貸しはがしにおいては金融機関よりも借り手の方が優位な立場にあります。
さて、債務者は期限の利益で守られているのなら貸しはがしは起こらないと思われるかもしれませんが、債務者は期限の利益を喪失することもあります。
期限の利益がなくなれば金融機関は返済期限前の返済を迫ることができるようになるため、強制的に貸しはがしする事が可能となります。
では、一体何をしたら期限の利益は喪失してしまうのでしょうか。
融資契約を締結した時の契約書には「期限の利益の喪失」という項目があり、そこに書かれている内容に背くと、金融機関は強制的に貸しはがしができるようになります。
一般的に、期限の利益が喪失するのは以下のような契約違反があった場合です。
- 返済日に返済がなかった場合
- 債務者が契約書に記載した内容に違反や虚偽があった場合
- 債務者が破産手続き、民事再生手続きなどを開始した場合
- 債務者に対して保全処分、強制執行などが行われた場合
上記のうち1つでも違反があったら貸しはがしが可能となってしまうため、借り手はこの内容をしっかり覚えておかなければなりません。
貸しはがしが起きる原因
金融機関は利益を得るために融資をするため、確実に返済をしてもらいたいと考えます。
個人や企業の資産状況が悪くなって返済できるか怪しくなった時などに、金融機関は返済期限前であっても個人や企業に少しでも余力があるうちに返済を迫ります。
つまり、貸し渋りと同様に自己資本比率を上げるために資金回収をするのです。
企業の倒産や経営悪化などは不景気のときに増えるため、不景気のときに貸しはがしが顕著に起きる傾向にあります。
貸し渋り・貸しはがしの対策

以下では、不動産投資家がすべき貸し渋り・貸しはがしへの対策をご紹介します。
貸し渋りへの対策
貸し渋りにおいては金融機関の方が優位な立場にあるため、融資をしてもらうためには事業の健全性や収益性などを書面で提出し、貸倒れリスクが低いことをアピールしましょう。
金融機関へ提出する事業計画書は細部までこだわって作成することが大切です。
不動産投資ローンの審査は住宅ローンとは異なる審査基準が設けられていますので、審査を受ける前に以下の記事をご覧ください。
貸しはがしへの対策
貸しはがしにおいては借り手の方が優位な立場にありますが、不動産投資家はそこで安心せず「期限の利益の喪失」が起こらないように注意しなければなりません。
返済日をたった1日過ぎただけでも期限の利益は失われてしまいますので、返済日までにしっかり返済をすることが大切です。
その他にも期限の利益が喪失する契約違反はありますので、融資契約を締結する際に何に違反したら期限の利益を喪失するのか契約書を確認しておきましょう。
まとめ
貸し渋り・貸しはがしという言葉は近年あまり耳にしませんが、平成不況のように、瞬く間に不景気に陥り、再び貸し渋り・貸しはがしが問題視される時がくるかもしれません。
金融機関は時期・情勢によって新規融資に消極的になることがあるため、不動産投資家は貸し渋り・貸しはがし対策をするとともに、不動産投資するタイミングも見極める必要があるでしょう。
また、融資に関して不安がある方は不動産会社の担当に相談しながら融資を進めていくことをお勧めします。








