公開日:2019/12/26 最終更新日:2020/07/02

既存不適格建築物が不動産投資に向かない3つの理由

投資物件を探しているなかで「既存不適格建築物」という物件に出くわすこともあると思います。では、既存不適格建築物とは一体どのような建築物なのでしょうか?

今回は、既存不適格建築物の概要や不動産投資をするデメリットをご紹介します。

既存不適格建築物とは

建築基準法は昭和25年に公布・施行され、現在に至るまで社会環境の変化に伴って何度も改正されてきました。
建築基準法では建築物の敷地や構造、設備、用途などに関するルールが定められています。

既存不適格建築物とはこの建築基準法やその他の法令、条例が改正されたことによって不適法になってしまった建築物を指します。簡単に言いますと、既存不適格建築物とは「建物の建築時には適法だったものの、それ以降の法改正によって不適法になってしまった建築物」のことです。

既存不適格建築物を建て替える場合には現在の法律が適用されるため、建築に制限がかかるケースもあります。

違法建築物との違い

既存不適格建築物と違法建築物はどちらも不適法な建築物ですが、明確な違いがあります。
違法建築物とは、建築基準法や条例、その他の法令に違反して建てられた建築物のことです。既存不適格建築物は建築時に法を遵守して建てられていますが、違法建築物は建築時に法に反して建てられています。

したがって、違法建築物と既存不適格建築物の違いは「建築時に適法であったか、違法であったか」で見極めることができます。

既存不適格建築物となる原因は?


建築に関する法令の改正は数多くされてきたため、既存不適格建築物となる原因も実に様々です。以下では、そのうち既存不適格建築物となる主な原因3つをご紹介します。

①建ぺい率・容積率の変更

建物は都市計画法やその他の法令、条例などによって建ぺい率・容積率が定められています。
因みに、建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合、容積率とは敷地面積に対する床面積の割合のことです。

建物の建築時には建ぺい率・容積率が制限内であったとしても、都市計画の変更で建ぺい率・容積率の制限が厳しくなり既存不適格建築物となることがあります。

②高さに関する制限の変更

建物は都市計画法やその他の法令、条例などによって、建物が建つエリアごとに高さ制限が設けられています。
そして、この都市計画法などはこれまでに見直されてきており、建物の高さ制限が変わったエリアも少なくありません。

例えば、以前は建物の高さを12メートル以下とする制限だったのが、都市計画の変更によって建物の高さが10メートル以下に制限されることもあります。
このように、建物の建築時には高さに関する制限を満たしていたけれど、後々高さ制限が変更されて既存不適格建築物になることがあります。

③新耐震基準を満たさなくなった

耐震基準とは、建物が地震に耐えられるよう設定されている基準で、日本で初めて耐震基準が定められたのは1923年の関東大震災の翌年である1924年です。

1924年以降に耐震基準が見直されることはあったのですが、1981年6月1日に施行された新耐震基準はそれまでの耐震基準を大幅に見直したものとなっており、現在もこの耐震基準が使われています。新耐震基準では大地震でも建物が倒壊しにくい造りとなっています。

したがって、1981年6月以前に建てられた建築物の多くは新耐震基準を満たしておらず、既存不適格建築物に該当している可能性が非常に高いと言えます。

既存不適格建築物が不動産投資に向いていない理由

融資を受けづらい

違法建築物よりは融資が受けやすいですが、それでもやはり既存不適格建築物はローン審査に通りづらい傾向にあります。
現行の法令に適合していない物件に対して金融機関は融資を渋りますので、ローンを利用しての物件購入をお考えの方は資金調達に苦労します。

増改築や建て替えが難しい

既存不適格建築物の増改築や建て替えをする際には、現行の法令を適用させなければなりません。したがって、旧耐震基準の既存不適格建築物を建て替える場合には新耐震基準にする等の対応が必要となります。

不動産投資をするうえで増改築や建て替えが必要になる事があるのですが、問題になるのは建ぺい率・容積率をオーバーした既存不適格建築物です。
建ぺい率・容積率の既存不適格建築物を現行法に合わせて建て替えると、建物の規模が小さくなってしまうのです。場合によっては何部屋か無くして建て替えなければならない事もあり、家賃収入が減る可能性もあります。

売却が難しい

売却時には物件情報を開示しますが、この際に既存不適格建築物であることもしっかりと伝えなければなりません。
既存不適格建築物は融資を受けづらいですし、築古の物件が多いため買い手がつきにくい傾向にあります。
このように既存不適格建築物は売却が難しいため、しっかりと出口戦略を立てなければなりません。

まとめ

既存不適格建築物は違法建築物とは異なり、建築時に法令を遵守して作られた建物です。違法建築物の購入は避けるべきですが、既存不適格建築物は不動産投資に向いていない点が多いものの、投資してはいけない物件ではありません。

例えば建物の取壊しを前提にし、土地活用を目的に購入するなども一つの手でしょう。しかし、既存不適格建築物はやはり難しい部分があるため、購入するにしてもプロの不動産業者へ相談しながら慎重に検討しましょう。

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