地上権と賃借権の違いって?

建物を建てることを目的に土地を借りる時には借地権を設定しなければいけません。
借地権には「地上権」と「賃借権」の2つの種類があるのですが、これらの違いをきちんと理解している方は少ないかと思います。
そこで今回は地上権と賃借権の違いに加え、借地権付き建物での不動産投資のメリット・デメリットをご紹介していきます。
地上権と貸借権の違い
自分で土地を所有せずに建物を建てたいという場合、第三者(地主)が所有する土地を借りて、建物を建てます。
このように地主から土地を借りて建物を建てる時は「借地権」を設定し、土地と建物それぞれの所有者を区別するのですが、この借地権には「地上権」と「賃借権」の2種類があります。
地上権とは
借地権の一つである地上権は土地に対して強い権利をもつため、借主に有利な内容となっています。地上権は物権という、物を直接的に支配する権利なので、地主に登記を請求でき、地主の承諾なしに土地を第三者へ自由に譲渡、転貸することが可能です。また、建物の建て替えも地主の承諾なしに行うことができます。
地代については取り決めをする必要がないため地代を支払わない契約も可能で、存続期間についても地主と借主が合意すれば自由に設定することができます。
このように地上権は地主に不利な内容となっているため、次でご説明する賃借権が採用されるケースがほとんどです。
賃借権とは
借地権の一つである賃借権は土地に対しての権利が弱いため、地主に有利な内容となっています。賃借権は債権という、特定の「人」に対して一定の財産上の行為を請求できる権利なので、土地を間接的にしか支配できません。
したがって、賃借権では土地の譲渡や転貸、建物のリフォームや建て替えなどを行う際に地主の承諾が必要となります。
また、賃借権の場合は地代に関する取り決めが必要です。存続期間については従来20年まででしたが、2020年4月1日施行の改正民法では、50年までと改正されます。また、存続期間は更新することが可能となっています。
| 地上権 | 賃借権 | |
|---|---|---|
| 権利の種類 | 物権 | 債権 |
| 登記 | 登記される (地主に登記の協力義務が有る) |
通常はされない (地主に登記の協力義務が無い) |
| 抵当権 | 地上権に設定可能 | 賃借権には設定できないが、建物には設定できる |
| 譲渡・転貸・売買 | 地主の承諾が不要 | 地主の承諾が必要 |
| 地代 | 取り決めは自由 | 取り決めが必要 |
| 存続期間 | 借主と地主の話合いで自由に設定可能 | 法令の定めに従う |
借地権付き建物は不動産投資に向いていない?

借地権付きの建物は不動産投資に向いていないとお考えの方もいらっしゃいますが、一概に不向きとは言えません。
一般的には借地よりも所有地の方が好まれますが、借地権付き建物にはメリット・デメリットがあり、借地権付き建物を好む投資家も存在するのです。
借地権付き建物のメリット
借地権付きの建物を所有しているということは、当然ながらご自身が土地を所有しているわけではありません。したがって、土地の所有権を持っている場合に比べて物件価格が安く、土地に関しては取得税や固定資産税、都市計画税などの税金がかからないメリットがあります。
物件価格が安いと投資利回りも高くなるため、不動産投資において重要なキャッシュフローがプラスに働きやすくなる魅力もあります。
借地権付き建物のデメリット
地上権、賃借権いずれにしても借地権付き建物を所有していると、借主は地主へ地代を支払わなければなりません(地上権では地代が無い契約を交わすことも可能ですが、そういったケースはほとんどありません)。
したがって毎月のローンは土地の所有権を持っている場合に比べて負担は少ないのですが、借地権付き建物を所有していると地代の負担がかかります。
また借地には期限が定められていることが多く、借地契約を解約する際には建物を取り壊し、更地にして返さないといけないのが普通です。このように、最終的には解体されてしまう事が多いため不動産としての資産が残らないデメリットもあります。
売却するにしても、借地権付き建物は土地の所有権付きの建物よりも人気が無いため、出口戦略が立てにくい特徴があります。
まとめ
地上権と賃借権の違いはお分かりいただけたでしょうか。市場へ流通しているものの多くは賃借権なので、借地権付き建物での不動産投資を検討する際は借地権=賃借権で考えて良いでしょう。
出口戦略が立てづらい、資産価値が残らないなどのデメリットよりも、賃貸経営をしている際の利回りが高い方が良いのであれば、借地権付き建物も選択肢の一つとなります。








