不動産売買契約時の「手付金」について解説!

不動産の売買契約時に買主から売主へ支払われる「手付金」。
支払わなくてはいけないものだとは分かっていても、その意味や役割を理解している方は少ないのではないでしょうか?
今回は不動産の売買契約において重要な役割を担う手付金の意味や役割、注意点をご紹介します。
手付金とは
手付金とは、不動産の売買契約を締結する時に買主が売主へ交付する金銭のことです。
手付金の金額は売主と買主が合意すればいくらでも良いのですが、手付金の金額は物件価格の5%~10%が一般的です。
(ただし、売主が宅地建物取引業者で買主が宅地建物取引業者ではない場合には宅地建物取引業法第三十九条で「手付金は売買代金の20%が上限」と定められています。)
手付金は契約締結時に買主が売主に預けるものなので、決済時(物件の引き渡し時)に売主から買主へ返還されます。
このように手付金は売買代金の一部ではないのですが、通常は契約書に「手付金は決済時に売買代金の一部に充当する」と記載されています。
したがって、物件を購入するにあたって売主に支払うお金は基本的に売買代金のみとなります。
手付金の種類
証約手付
証約手付とは売買契約が成立した証拠となる手付のことです。
売買契約は口頭でも成立するため、どの段階で売買契約が成立したのか分からなくなることがあります。そこで、売買契約が成立した時を明確にするために証約手付を支払うのです。
証約手付の領収書が売買契約成立の証拠になることがありますので、領収書は大事に保管しておきましょう。
違約手付
違約手付とは当事者に契約違反があった場合に、損害賠償とは別に「違約金」として没収することができる手付です。
ここで言う当事者とは売主と買主のことですので、買主に契約違反があった場合には売主が手付金を没収します。反対に、売主に契約違反があった場合には手付金を買主に返還すると同時に、受け取った手付金と同額の違約金を買主へ支払います。
解約手付
解約手付とは契約の解約権を留保することが目的の手付です。
解約手付金は契約が解除されたときの担保と捉えられますので、買主が契約解除をしたい場合には手付金を放棄することで契約を解除できます。
一方、売主が契約解除をしたい場合には受け取った手付金の倍額を買主へ返還することで契約解除ができます。
「別の不動産を購入したくなった」、「不動産を売る気がなくなった」など…どのような理由でも手付金の放棄によって契約は解除できますが、手付の放棄によって契約を解除できるのは相手方が契約の履行に着手するまでとなっている点に注意しましょう。
物件の引き渡しや所有権移転登記が行われるなど、相手方が契約の履行に着手した後は手付の放棄による契約解除はできなくなります。
不動産売買契約に記載されているのは基本的に「解約手付」

手付には「証約手付」と「違約手付」、「解約手付」の3種類がありますが、手付といえば通常は解約手付を指します。判例(昭和24年10月4日最高裁判決)でも、「契約において特に定めがない場合、手付は解約手付とみなす」ことになっています。
証約手付と違約手付が使われる事はほとんどないので、そういった手付があることだけ覚えておけば良いでしょう。
手付金の放棄は契約を解除する最終手段ですので、売買契約を締結する際には手付が「解約手付」になっているかどうか確認しておくことが大切です。
さきほど説明したように手付金の放棄による契約解除は「相手方が契約の履行に着手するまで」が前提になっている他、売主が個人の場合には「契約日から●日以内」といったように具体的な手付解除期間が設けられるケースもあります。
手付による解除でよくあるトラブル
手付の放棄によって契約解除できる期間は「相手方が契約の履行に着手するまで」と具体性に欠けているため、売主と買主で「契約の履行の着手」に対する解釈が異なるとトラブルに発展することがあります。
一般的に契約の履行に着手したとみなされるものには、以下のようなものがあります。
- 売主が買主に物件を引き渡した
- 売主が所有権移転登記手続きに着手した
- 買主の要望通りに物件のリフォームや取壊しなどの工事に着手した
不動産取引は複雑なため、上記以外に「履行の着手」の要件を巡ってトラブルになることは多くあります。トラブルを避けるためには、売買契約を締結する際に「履行の着手」の要件について売主と買主で考えをすり合わせておいたり、売主が個人の場合には具体的な手付解除期間を設けておいたりすることが有効です。
まとめ
手付金は契約を解除できる重要な役割を果たすため、契約時にしっかり確認しておくべきものです。手付解除をする際にはトラブルが起きやすいため、手付金の意味や役割、仕組みをきちんと理解しておきましょう。
不動産会社に仲介を依頼している場合は、手付金を含め契約に関する重要事項を確認しておくと良いでしょう。








