公開日:2019/11/28 最終更新日:2020/01/31

普通借家契約と定期借家契約、その違いって?

賃貸借契約と一口に言っても、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類の契約方法がある事をご存知でしょうか?

今では普通借家契約が主要となっているため、それぞれの違いを知っている方は少ないかもしれません。
今回は、普通借家契約と定期借家契約の特徴について分かりやすくご説明していきます。

賃貸借契約の種類

アパートやマンションなどの建物を貸し借りするときに交わす契約のことを賃貸借契約と言いますが、賃貸借契約は2種類の契約があります。

賃貸借契約と聞いて私たちが想像するのは「普通借家契約」で、もう一方の種類はあまりメジャーではないのですが「定期借家契約」という賃貸借契約です。

以下でそれぞれの特徴を確認していきましょう。

普通借家契約

契約の締結方法

口頭による契約の締結、書面による契約の締結どちらでも有効です。
しかし口頭による契約の締結はトラブルに繋がることが多いため、きちんと書面によって契約するケースがほとんどです。

契約期間

普通借家契約の契約期間は1年以上であれば上限なく設定できますが、一般的には2年間を契約期間とする事が多いです。設定した契約期間が満了しても、借主が更新を希望すれば契約の更新ができます。
なお、2000年3月1日以前の契約は契約期間の上限は20年となっており、2000年3月1日以降の契約から契約期間の上限がなくなりました。

中途解約

中途解約に関する特約をつけることで借主は解約できますが、貸主は正当な事由がない限り中途解約や契約更新を拒絶することはできません。
大抵の場合、借主は解約する1~2ヶ月前に申し出れば解約できる特約がついています。

賃料の改定

普通借家契約の場合、借地借家法第32条によって賃料の改定が認められています。たとえ賃料の増額や減額をしない特約をつけていても、借地借家法が優先されるため当事者は賃料の増減を請求することが出来ます。

定期借家契約

契約の締結方法

定期借家契約は、公正証書等の書面によって契約を締結しなければなりません。
また、契約前に貸主は借主に対して「契約の更新がなく、期間の満了とともに賃貸借が終了する」と説明する必要があります。この説明を怠った場合、定期借家契約としての効力はなくなり普通借家契約となります。

契約期間

定期借家契約では契約期間を自由に設定できますので、1年未満の期間でも設定が可能です。設定した契約期間の満了とともに契約が終了し、更新はありません。

中途解約

中途解約に関する特約があれば、それに従って中途解約をします。
ただし中途解約に関する特約がなくても、床面積が200㎡未満の居住用建物に住む借主がやむを得ない事情で居住が困難になった場合、中途解約することができます。

賃料の改定

定期借家契約の場合、借地借家法第38条によって賃料の改定をしない内容の特約をつけることも可能です。普通借家契約では借地借家法が優先されますが、定期借家契約では特約が優先されます。

普通借家契約と定期借家契約の違い


普通借家契約と定期借家契約の特徴として大きく異なる部分は、契約更新の可否といった点でしょう。定期借家契約では設定した期間の満了とともに契約が終了するため、借主に不利な内容となっています。

総合的に考えると普通借家契約は借主に有利な契約、定期借家契約は借主に不利な内容と言えるでしょう。

貸主からみると定期借家契約の方が都合は良いのですが、借主に嫌厭(けんえん)されることも多いと覚えておきましょう。借主がいなければ賃貸経営は成り立ちませんので、普通借家契約と定期借家契約どちらを選択するのかは十分に考える必要があります。

▼普通借家契約と定期借家契約の違い
普通借家契約 定期借家契約
契約の締結方法 書面もしくは口頭
  • 書面のみ
  • 契約前に貸主は借主に対して契約内容に関して説明する必要がある
契約期間
  • 2000年3月1日以前の契約:1年以上20年未満
  • 2000年3月1日以降の契約:1年以上(上限なし)
自由に設定可能
更新 貸主に正当な事由がない限り更新される 期間満了とともに終了し、更新されない
賃料の改定 借地借家法が優先される 特約が優先される
中途解約 特約に従う
  • 特約に従う
  • 特約が無い場合、床面積が200㎡未満の居住用建物に住む借主がやむを得ない事情で居住が困難になった場合、中途解約が可能

普通借家物件と定期借家物件の割合は?

定期借家契約は借主に不利な内容になっているため嫌厭される事が多いとご説明しましたが、実際のところ普通借家契約と定期借家契約はどちらが多いのでしょうか。

国土交通省 住宅局が公表した「平成29年度 住宅市場動向調査~調査結果の概要~」では、平成29年度に普通借家制度を利用した借家は97.5%、定期借家制度を利用した借家は2.3%だという事が分っています。

データから分かるように、定期借家物件は全くと言っていいほど普及していません。その理由は契約手続きに手間がかかったり、借主からの需要がないためでしょう。

けれど、将来的に建物の取壊しをする等の理由から、定期借家契約を選択する大家さんもいらっしゃるかと思います。
その際にはフリーレントや家賃の値下げなど、入居希望者が現れるような工夫をすると良いでしょう。

普通借家契約と定期借家契約それぞれの特徴を十分に理解し、ご自身に合った賃貸借契約を結ぶようにしてください。

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