不動産投資に宅建資格は必要ない?宅地建物取引業法と合わせて解説

不動産投資をするのに役立つ知識を身につけられる「宅建資格」。
取得しておくと、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は宅建資格、宅地建物取引業法について解説いたします。
宅地建物取引士とは
宅地建物取引士は不動産業に関わる方に人気の国家資格です。
不動産取引をするなかで宅地建物取引士にしかできない業務があることや国家資格ということもあり、毎年約20万人が受験しています。
業務内容について
宅地建物取引士しかできない独占業務には、以下の3つがあります。
- 重要事項説明
- 重要事項説明書への記名・押印
- 契約書への記名・押印
宅地建物取引士がいなければ上記の業務ができませんので、不動産取引をする企業には宅地建物取引士が必要不可欠です。
法律では、「1つの事業所で業務に従事する者5人につき1人以上」、「国土交通省令で定める案内所等には少なくとも1人以上」の宅地建物取引士を設置することが決まっています。
取得方法について
宅地建物取引士として働くには、宅地建物取引業に関する試験に合格した後、都道府県知事の登録を受けて宅地建物取引士証を交付されなければなりません。
登録申請するには2年以上の実務経験が必要となりますが、それを満たさない場合には登録実務講習を受ければ登録申請することができます。
そのため、重要なのは難関な資格試験に合格することでしょう。
合格率は15%前後と決して簡単な試験ではありませんが、しっかり勉強時間を確保して対策すれば資格取得も夢ではありません。
宅地建物取引業法って何?
宅地建物取引業法は、宅地建物取引業を行う者に免許制度を実施し、その事業に対して必要な規制を定めた法律です。
宅地建物取引業の適切な運営や公正な取引をすることを目的に、昭和27年に制定、施行されました。
不動産投資に宅建資格は必要ない?
所有物件を第三者に貸し出して利益を得る「インカムゲイン」を狙う行為は宅地建物取引業にならないため、宅地建物取引業法に抵触することはありません。
不動産投資はインカムゲインを狙うのが基本とされていますから、ほとんどの大家様は宅建資格を持っていなくても不動産投資をすることができます。
資格を持っていないと違法になるケース
宅地建物取引業法では、「宅地建物取引業をするには免許が必要」と定められていますので、宅地建物取引業に該当するような不動産投資をしている場合には宅地建物取引業法に抵触してしまうケースもあります。
宅建業の判断基準については、国土交通省が発表している「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に記載されています。
第2条第2号関係
1 「宅地建物取引業」について
(1) 本号にいう「業として行なう」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行
とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は次の事項を参
考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。
(2) 判断基準
① 取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事
者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
(注)特定の関係とは、親族間、隣接する土地所有者等の代替が容易でない
ものが該当する。
② 取引の目的
利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足を目的とする
ものは事業性が低い。
(注)特定の資金需要の例としては、相続税の納税、住み替えに伴う既存住
宅の処分等利益を得るために行うものではないものがある。
③ 取引対象物件の取得経緯
転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、相続又は自ら使用する
ために取得した物件の取引は事業性が低い。
(注)自ら使用するために取得した物件とは、個人の居住用の住宅、事業者
の事業所、工場、社宅等の宅地建物が該当する。
④ 取引の態様
自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、
宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が
低い。
⑤ 取引の反復継続性
反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引とし
て行おうとするものは事業性が低い。
(注)反復継続性は、現在の状況のみならず、過去の行為並びに将来の行為
の予定及びその蓋然性も含めて判断するものとする。
また、1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして
行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に
該当する。
宅建業かどうかは上記5つの要因に照らし合わせて、総合的に判断されることになります。
例えば、以下のようなケースでは事業性が高いと判断されるでしょう。
①不特定多数に対して
②売却益(キャピタルゲイン)を目的に
③売却するために不動産を取得し
④宅地建物取引業者に媒介を依頼して販売した
⑤3回不動産取引をしており、今後も不動産取引の予定がある
「取り引きの反復性継続」に注意!
キャピタルゲイン狙いで不動産投資をしている方に注意して欲しいのが、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に記載されている「⑤ 取引の反復継続性」です。
何度も物件の売買をしていると宅地建物取引業とみなされることがあるため、宅建業免許を取得していない場合には宅地建物取引業法に違反してしまいます。
宅建業法違反と判断された場合
無免許で宅地建物取引業を行って宅建業法に違反していると判断された場合、宅地建物取引業法で最も重い罰則である3年以下の懲役または300万円以下の罰金(または両者の併科)が科される可能性があります。
現在では宅建業免許を持っていない不動産投資家のほとんどが取り締まられていませんが、今後どうなるか分かりませんので、複数の物件を売買して利益を挙げている不動産投資家は宅建業免許を取得しておくと安心でしょう。
不動産投資家が宅建資格を持つメリットは?
不動産投資をするのに宅建資格は必須ではありませんが、資格取得には以下のようなメリットがあります。
取引相手からの信用度が上がる
宅建資格を持っていると取引相手からの信用度アップに役立ちます。
不動産投資では金融機関や不動産会社の営業スタッフ、売主、買主など様々な取引相手が存在します。宅建資格は不動産取引に関する知識があることの証明になりますので、交渉が有利になる可能性があります。
法律、税金など幅広い知識を習得できる
宅建資格の試験では、宅建業法や民法、建築基準法、税金関係など、不動産取引に関して幅広く出題されます。
これらの知識を身につければ、物件を購入する際に法律面や建築基準に問題がないか等を確認することができ、不良物件を掴みにくくなります。
出口戦略に有利になる
不動産取引には専門知識が必要となるため、多くの不動産投資家が宅建士を抱える不動産仲介業者に仲介を依頼します。
しかし、自らが宅建資格を持っていれば業者を仲介せず売主に直接物件を売ることが可能です。
仲介手数料は<売買価格×3%+6万円>が上限となっているため、数十万円の仲介手数料がかかるのが普通です。
仲介業者を通さなければ仲介手数料を節約することができるため、出口戦略で有利となるのです。
宅建資格以外に必要な知識
宅建資格は不動産投資において様々なメリットがありますが、それ以外にも設計の知識、工事の知識、消防の知識、税金の知識があると役立ちます。
具体的に言うと、以下のような資格が不動産投資に活かせるでしょう。
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 不動産鑑定士
- マンション管理士
- ホームインスペクター
- 賃貸不動産経営管理士
- 住宅販売士
まとめ

今回は不動産投資に役立つ宅建資格についてご紹介しました。
宅建資格の知識は実生活でも役に立ちますので、不動産投資家が持って損はないでしょう。
難易度が高い資格ではありますが、大家様はぜひ取得を目指してみてくださいね。








