公開日:2019/09/02 最終更新日:2019/09/10

相続法が改正!不動産投資に関わる改正点とは

相続に関するルールを定めた相続法は1980年に改正されてからこれまで大きな見直しはありませんでしたが、2018年7月、約40年ぶりに相続法が大きく改正されました。この改正に伴い、相続税の節税に効果的と言われる不動産投資にも影響が及ぶこととなりました。不動産投資家は、不動産投資に関わる改正点をしっかりと確認しておきましょう。

相続法改正の内容

法務省は、以下の相続法改正を2019年1月より段階的に施行する事を公表しました。
今回の相続法改正は、残された配偶者の生活への配慮や相続をめぐる紛争の防止、その他制度の見直し、といった内容になっています。

①自筆証書遺言の方式緩和

2019年1月13日(日)施行

②婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

2019年7月1日(月)施行

③預貯金の払戻し制度の創設

2019年7月1日(月)施行

④遺留分制度の見直し

2019年7月1日施行

⑤特別の寄与の制度の創設

2019年7月1日(月)施行

⑥配偶者居住権の新設

2020年4月1日(水)施行

⑦法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

2020年7月10日(金)施行

不動産投資に関わる改正点

遺留分制度の見直し

以前の遺留分制度では、息子や配偶者に相続した不動産は2人で共有しなくてはいけない状態が発生する事があり、不都合が生じやすい状況でした。
今回の遺留分制度の見直しについて説明する前に、まずは遺留分について確認しておきましょう。

遺留分とは、一定の法定相続人に最低限保証された遺産のことです。したがって、遺言に何が記されていたとしても遺留分のある法定相続人は最低限の財産を相続する権利があるのです。

相続人が遺留分を侵害された場合には目的物の返還請求をすることで、権利行使を行う仕組みでした。簡単に言うと、遺言で不動産を相続しないとされた(遺留分が侵害された)相続人は、不動産を相続した他の相続人と不動産(目的物)を共有する事になっていたのです。

不動産を共有すると運営や売却でトラブルが生じることから、改正後は遺留分の権利行使を金銭の支払請求という形で行うように変更されました。

先程の例で言うと、遺言で不動産を相続しないとされた(遺留分が侵害された)相続人は、不動産を相続した他の相続人に遺留分を金銭で支払う事を要求できるようになったのです。
遺留分の行使が金銭の支払請求に変更された事によって、相続人同士で不動産を共有しなくてすみ、収益物件の運用や売却で揉めることがなくなります。

また、遺留分は相続人が生前に被相続人から受け取った全ての特別受益を遺留分額の算定に入れていましたが、今後は相続開始前の10年間に受け取った特別受益のみを算定に含むようになりました。遺留分の算定方法が明確になったので、財産分与がスムーズに行われるようになるでしょう。

配偶者居住権の新設

これまで、被相続人である夫から配偶者が住宅を相続できなかった際に居住権が保護されていない事が問題視されていました。
今回の改正では、配偶者が被相続人名義の居住用住宅を相続しなくても、一定期間は居住権が保護されるようになりました。

自分が住むスペースと人に貸す賃貸スペースが併存した「賃貸併用住宅」をお持ちの方は、この配偶者居住権を活用することができます。
例えば、子どもが住宅の所有権を相続し、配偶者は現金を相続しながらも居住権が得られるのです。

預貯金の払戻し制度の創設

これまでは遺産分割が終了するまでは、相続人が単独で預貯金を払い戻す事ができず、収益物件がある場合には賃貸経営に必要な経費の支払いが困難になるケースがありました。

そこで、遺産分割が終わる前でも、一定額を相続人が単独で払い戻せるようになりました。賃貸経営をするうえでは光熱費や委託管理費、税金などの諸費用を支払わなくてはならないので、預貯金を引き出せるようになる制度で相続人の金銭的負担が軽減されます。

自筆証書遺言の作成、保管に関する改正

これまでは自筆証書遺言と財産目録の両方を自書する必要がありましたが、財産目録をパソコンで作成してよくなり、通帳のコピーを添付する事も可能となりました。遺言書作成にかかる手間が軽減されます。

自筆証書遺言の作成後は法務大臣の指定する法務局に遺言書を保管する制度も創設されたため、紛失や改ざんの心配がなくなります。

まとめ

相続法の改正によって、不動産の相続がスムーズにできるようになりました。以前の相続法の内容で相続対策をしていた方は、今回の相続法改正を踏まえて再度相続対策を考える必要があるでしょう。ご自身と相続人に最適な相続対策をとるには、改正の内容を理解するとともに専門家へ相談する事をお勧めします。不動産投資をするオーナーは、担当の不動産業者から収益物件の相続に強い司法書士を紹介してもらえるケースがあるようなので、1度紹介を依頼すると良いでしょう。

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