不動産売買契約を解除するときの注意点

不動産売買契約は信用のうえで成り立つものですので、簡単に解除することはできません。
では、「不動産売買契約を締結したけれど、やはり解除したい」と思った時にはどうすれば良いのでしょうか?
今回は、契約解除できるケースや注意点を説明していきます。
不動産売買契約は解除できる?
売主であれ買主であれ、不動産売買契約を締結したあとに「契約を解除したい」と思うこともあるでしょう。
けれど、不動産売買契約を締結すると法的効力が発生するため、自分勝手に契約を解除することは出来ません。
では、どのようなケースであれば不動産売買契約を解除できるのでしょうか。
一般的には以下のケースでしたら、不動産売買契約を解除できるとしています。
手付金の放棄による解除
不動産売買契約を締結する際、買主は売主に手付金を預けます。手付には「証約手付」と「違約手付」、「解約手付」の3種類がありますが、不動産の売買契約における手付のほとんどは解約手付です。
売主、買主ともに手付金(解約手付)を放棄することで、原則理由を問わずに契約を解除できます。具体的に説明しますと、買主は売主に預けた手付金を放棄することで契約解除でき、売主は手付金を買主に返還し、手付金と同額を買主に支払うことで契約解除できます。
手付金を放棄することにはなりますが、基本的にどのような理由であっても契約解除できる点が手付解除の利点でしょう。手付解除ができるのは「相手方が契約の履行に着手するまで」もしくは「契約書に定められた手付解除期間まで」となっている点に注意してください。
クーリングオフによる解除
宅地建物取引業法では、不動産売買契約におけるクーリングオフ制度について定めています。
クーリングオフについて知らされてから8日以内であればクーリングオフできると考えている方もいらっしゃるのですが、不動産の売買契約をクーリングオフするには以下の要件を満たさなければなりません。
クーリングオフの適用要件
- 不動産の売買契約であること
- 売主が宅地建物取引業者であること
- 宅地建物取引業者の事務所など以外での申込か契約であること
- 物件の引渡し、または代金の支払いをしていないこと
- クーリングオフについて書面で告知された日から起算して8日以内であること
融資利用特約による解除
融資利用特約とは買主がローンを組んで不動産購入することを前提に売買契約を締結した後に融資が不成立になった場合、買主は契約解除できて手付金も返還される特約です。
なお、融資利用特約の期日は売買契約の締結後30日ほどで設定されることが一般的です。
買主は希望する融資を利用することを前提に売買契約を交わしますので、融資が非承認になった際には計画通りに不動産を購入できなくなります。
このような事態に陥った際には、融資利用特約が買主を保護してくれるのです。
契約違反による解除
売買契約を締結すると売主、買主ともに契約履行の義務が生じます。
当事者のどちらか(売主または買主)が契約履行しなかった場合には契約違反として相手方は契約履行を催告し、それでも履行されない場合には売買契約書に記載された違約金を受け取り契約解除します。
不動産取引における違約金の相場は売買価格の10~20%ほどとなっていますので、売買価格が5,000万円の場合には500万円~1,000万円ほどの違約金を支払うことになります。
瑕疵担保責任による解除
不動産売買契約を締結する際に売主・買主ともに気が付かなかった物件の欠陥に対しては、売主が責任を負わなければなりません。(瑕疵担保責任)
隠れた瑕疵は雨漏りや土壌汚染、シロアリ被害などがありますが、買主が売買契約を締結した目的を達成できなくなる瑕疵があった場合、買主は契約解除できます。
消費者契約法による契約の取り消し
売主と買主のどちらかが事業者である場合には消費者契約法が適用されます。消費者契約法では、事業者が事実と異なることを説明したことで消費者が誤認して契約を締結してしまった場合、その契約を解除できるとしています。
反社会的勢力の排除条項による解除
不動産の売買契約書には「反社会的勢力の排除条項」があり、売買契約後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には契約解除できると定めています。
相手方が反社会的勢力であるかどうか分からないという方は、最寄りの警察署や組織犯罪対策第三課、公共財団法人暴力団追放運動推進都民センターに相談しましょう。状況に応じて契約相手が反社会的勢力かどうかなどの情報を提供してもらえます。
合意解除
売買契約書に特に定めがなかったり契約違反がなかったりしても、売主と買主が合意すればいつでも売買契約を解除することができます。
基本的には話し合いによって契約解除することとなりますので、契約解除の条件等も売主と買主で話し合って決め、お互いが合意しなければなりません。
不動産売買契約を解除するときの注意点

売買契約を締結したら余程のことがない限り契約解除できないと思われるかもしれませんが、これまでにご説明してきたように融資利用特約や手付金の放棄によって契約解除することは可能です。
自己都合で契約解除する場合は手付金の放棄や違約金が必要となりますので、それなりの金銭的負担は覚悟しておくべきでしょう。なお、手付金や違約金を支払わずに契約解除しようとして融資利用特約を悪用すると、損害賠償請求を受ける可能性があります。
売買契約は解除できますが、契約が締結すると売主は販売活動をやめて他の買主に購入して貰う機会を失います。売主は機会損失をしているわけですから、買主が気軽に契約解除するわけにはいきません。
買主も売主も、契約解除しないことを前提に売買契約を締結しましょう。
まとめ
不動産売買契約は簡単に解除できるものではありません。
契約が締結した時点で買主、売主には契約履行の義務が生じますので、確実に購入しようと思った時のみ売買契約を締結するようにしましょう。
不動産取引は信用のもと成り立ちますので、誠実な対応をすることが大切です。








