民泊経営の始め方と注意点

訪日観光客が右肩上がりになるにつれ、民泊市場がますます賑わいを見せています。2018年に民泊に関する法律が施行されてから簡単に民泊経営を始められるようになりましたが、知識のないまま運営すればキャッシュフローは大幅なマイナスになってしまいます。
今回は民泊経営をお考えの方に向けて民泊経営をする際の注意点や開始方法、そして「そもそも民泊経営は儲かるのか?」といった事までご説明いたします。
民泊経営とは
一般的に民泊とは、個人の所有する住宅や別荘、空き家の一部または全部を貸し出す事ですが、法律で明確に定められているわけではありません。かつては農村や漁村近くの民家に宿泊することを民泊と呼んでいたのですが、近年は「Airbnb」などの仲介サイトが普及して個人同士での住宅の貸し借りが簡単にできるようになり、民泊の捉え方が変化してきています。
民泊の増加や、民泊経営が抱える問題を背景に2018年に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行され、一定の基準をクリアした住宅であれば民泊経営を行うことができるようになりました。
従来は民泊経営をするには簡易宿所営業として許可を得るか、国家戦略特区内で特区民泊を活用するしかなかったので、以前よりも簡単に民泊経営を始められるようになりました。
2018年に施行された「民泊新法」
今までは民泊経営について法的な規定はありませんでした。しかし、国が民泊を「新たな事業」として捉え、2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行され、民泊経営に関してルールが定められました。
民泊新法によって民泊経営がしやすくなったというメリットはありますが、良い事ばかりではありません。
施行前は手軽に稼げるイメージが強かった民泊ですが、以下のような内容から「民泊経営は儲からない」と言われるようになってきたのです。
宿泊施設の条件
民泊新法が定める宿泊施設の条件を満たせば、戸建てやアパート、マンションを民泊経営に使用する事が可能となります。
条件①
キッチン、トイレ、浴室、洗面設備を備えていること
条件②以下のいずれかに該当する
- 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
- 入居者の募集が行われている家屋
- 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
年間営業日数=180日以内
従来は民泊の営業日数に定めは無かったのですが、民泊新法では営業日数を年間180日以内にすると定めました。1年中ずっと民泊経営してしまうとホテルや旅館などと住み分けが難しくなることから、「民泊はあくまで住宅を利用して経営するもの」という考えのもと営業規制がかかったのです
営業日数は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間のうちで180日以内となっていますが、自治体によってはさらに営業日数に規制がかかる事もありますので注意が必要です。
民泊経営の始め方
先程ご紹介した民泊新法による民泊を含め、民泊は大きく「新法民泊」「旅館業民泊」「特区民泊」の3つの形態に分けられます。それぞれ特徴や開始方法が異なりますので、以下で確認していきましょう。
新法民泊
特徴
- 届出だけで簡単に民泊が始められる
- 営業日数が年間180日以内
始め方
新法民泊は届出をすれば簡単に民泊を始める事ができます。
各自治体の保健所へ直接届出する他、WEB上で届け出ることも可能なため、煩わしさがありません。
旅館業民泊
特徴
- 営業日数の制限がない
- 営業可能地域が限定されている
- 条件が厳しい
- 営業には自治体の許可が必要
始め方
旅館業民泊を始めるには、各自治体の保健所へ申請し許可を得る必要があります。
自治体によって申請内容は異なりますが、一般的には保健所への事前相談⇒申請⇒宿泊施設の検査⇒許可 といった流れになります。
特区民泊
特徴
- 国が指定した区内かつ特区民泊条例を制定している地域のみで運営可能
- 宿泊日数が2泊3日以上であること
- 営業するには自治体からの認定を受ける必要がある
始め方
特区民泊を認める自治体へ申請をし、認定を受けて民泊運営を開始します。
なお、2019年(令和元年)8月現在、特区民泊条例を制定しているのは東京都大田区、大阪府、大阪市、八尾市、北九州市、新潟市、千葉市です。
「民泊経営は儲からない」と言われる理由

訪日観光客数が年々増加していることや2020年に開催される東京オリンピックを背景に、民泊市場は拡大するなか、「民泊経営は儲からない」と言われています。
民泊新法が施行されて民泊経営に乗り出しやすくなったとしても、営業日数の上限は180日以内なため、得られる利益は僅かです。
新法民泊以外の形態をとって年間を通して民泊経営したとしても、ホテルや旅館と比べるとリーズナブルなのが民泊の魅力の1つですから、大きな収益をあげることは困難でしょう。
建物を維持するにも、固定資産税やローン返済費用、光熱費、修繕費、日用品の補充などのランニングコストが発生します。
毎日部屋が埋まるとも限りませんし、収入と支出を想定すればキャッシュフローはマイナスになる可能性もあり得るのです。
注意点
無申請の民泊経営は罰則
民泊新法では民泊経営をする者に届出を義務付けており、無申請で営業を行った場合は6か月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金となります。
届出をせずに運営していた場合に加え、虚偽の届出をしても罰則の対象になりますので、新法民泊する方は自治体へ適正な内容で届け出るようにしてください。
新法民泊では新築物件は利用不可
民泊新法では「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」、「入居者の募集が行われている家屋」、「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」のいずれかが民泊として利用できる建物であると定めていますので、民泊用に建物を建てても、新法民泊で利用する事が出来ません。
利用者や近隣住民とのトラブル
民泊利用者には外国人が多いことから、文化や考え方の違いがトラブルに発展する事があります。例えばゴミの分別がされていない、備品を持ち還る、夜中に騒ぐといった迷惑行為をする利用者も存在します。このように利用者のマナーが悪いと近隣住民から苦情がくる事があり、民泊経営がし辛くなってしまいます。
もちろん日本人の利用者でも似たようなトラブルが起きる事もありますので、利用者とのトラブルを避けるためにも宿泊施設の利用ルールを日本語・英語・中国語で記載しておきましょう。








