都心回帰現象から考える不動産投資

近年よく耳にする「都心回帰現象」は、投資家がチェックしている話題でもあります。都心回帰現象は、不動産投資にどういった影響を与えるのでしょうか?
今回は、都心回帰現象が生じる理由や不動産投資との関係についてご説明していきます。
都心回帰現象とは
都心回帰現象とは、東京や大阪など都心部での居住人口が回復する現象のことを言います。過去の都心回帰現象について説明しますと、1990年代以降にバブル崩壊などが原因で地価が下落し、マンションやアパート、一戸建てが都心部に供給され、人口が増加した事例があります。
少子高齢化が目まぐるしく進む今、郊外の人口は減少している一方で、都心部では人口が増加しています。総務省統計局が調査した『都道府県別人口と人口増減率』によると、平成29年の推計人口からみて人口が増加しているのは東京・埼玉・沖縄・愛知・千葉・神奈川・福岡の7つだけです。
▼人口が増加している都道府県(平成29年推計人口)
| 都道府県 | 国税調査人口 | 平成29年推計人口 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 平成22年 (単位:1000人) |
平成27年 (単位:1000人) |
人口現象率 (単位:1000人) |
総人口 (単位:1000人) |
人口 増減率 (対前年) |
|
| 東京 | 13,159 | 13,515 | 2.7% | 13,724 | 0.73% |
| 埼玉 | 7,195 | 7,267 | 1% | 7,310 | 0.28% |
| 沖縄 | 1,393 | 1,434 | 2.9% | 1,443 | 0.26% |
| 愛知 | 7,411 | 7,483 | 1% | 7,525 | 0.24% |
| 千葉 | 6,216 | 6,223 | 0.1% | 6,246 | 0.16% |
| 神奈川 | 9,048 | 9,126 | 0.9% | 9,159 | 0.15% |
| 福岡 | 5,072 | 5,102 | 0.6% | 5,107 | 0.04% |
(総務省統計局『都道府県別人口と人口増減率』のデータをもとに作成しています。)
ちなみに、平成29年の推計人口からみて人口減少率の高い7つの県は秋田・青森・岩手・山形・高知・福島・和歌山となっています。
▼人口の減少率が高い県(平成29年推計人口より)
| 都道府県 | 国税調査人口 | 平成29年推計人口 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 平成22年 (単位:1000人) |
平成27年 (単位:1000人) |
人口現象率 (単位:1000人) |
総人口 (単位:1000人) |
人口 増減率 (対前年) |
|
| 秋田 | 1,086 | 1,023 | 5.8% | 996 | -1.40% |
| 青森 | 1,373 | 1,308 | -4.7% | 1,278 | -1.16% |
| 岩手 | 1,330 | 1,280 | -3.8% | 1,255 | -1.04% |
| 山形 | 1,169 | 1,124 | -3.9% | 1,102 | -1.03% |
| 高知 | 764 | 728 | -4.7% | 714 | -1.01 |
| 福島 | 2,029 | 1,914 | -5.7% | 1,882 | -0.97% |
| 和歌山 | 1,002 | 964 | -3.9% | 945 | -0.96% |
(総務省統計局『都道府県別人口と人口増減率』のデータをもとに作成しています。)
こういった都心回帰現象には、以下のような理由があると言われています。
- 上場企業の本社が都心に多い
- 共働き世帯が増え、職住近接志向が高まっている
- 都心部の再開発が進んでいる
- 都心から地方への転出人口が減少している
上記のように、バブル崩壊後の都心回帰現象とは異なり、近年の都心回帰現象の背景には「ライフスタイルの変化」「都心部における利便性の向上」があると言えます。
大学の都心回帰
都心回帰は、居住用のマンションやアパートだけに限りません。近年、特に注目されているのが、郊外のキャンパスを都心に移転する「大学の都心回帰」です。
都心にキャンパスが移転するに伴い、地方の学生は都心に住居を構えるようになります。
つまり、大学の都心回帰が進むほど都心に若者(学生)が増えていくのです。
大学の都心回帰を不動産投資に絡めて考えると、今後は都心で学生向けのワンルームマンションやアパートの需要が増えていくと予想できます。
都心へのキャンパス移転の動き
東洋大学
埼玉県朝霞市の朝霞キャンパスに設置しているライフデザイン学部が、2021年4月より東京都北区の赤羽台キャンパスへ移転する事が決定しました。
600人以上の学生が赤羽台キャンパスへ移動することから、2020年度内に赤羽台校地へライフデザイン学部移転用の建物を竣工させる予定となっています。
青山学院大学
青山学院大学は2013年、相模原キャンパス(神奈川県相模原市)の文学部や経済学部など文系7学部を東京都渋谷区の青山キャンパスに移転しました。
青山学院大学の文系学部は2年次まで相模原キャンパスで就学していましたが、キャンパス移転して今後は1年~4年次まで東京の青山キャンパスで就学できるようになりました。
中央大学
多摩キャンパス(東京都八王子市)の法学部を、文京区大塚一丁目の新校地と後楽園キャンパスへ移転する事が確定しました。移転は2023年度からの予定となっています。
不動産投資は都心でするべき?

都心回帰現象が起きているなか、投資家にとっては郊外と都心部どちらに不動産投資するべきかが悩みどころでしょう。
郊外と都心部、両方にメリットとデメリットがあるため一概には言えませんが、都心回帰現象の観点から考えてみれば、人口が増加している都心部へ投資するのが手堅いと言えます。
郊外への不動産投資は物件価格が比較的安い事や利回りが高い事などがメリットで、オフィスや大学付近の物件を購入すれば上手く運用できる可能性があります。
しかし、投資物件周辺にあるオフィス、大学等が都心回帰すると空室率が高まり、一気に赤字経営へと陥ります。
2019年現在、人口が増加しているのは47都道府県のうち7つのみで、それ以外は人口減少傾向にあるため、郊外での不動産投資は厳しくなっていくでしょう。
このように、郊外においては都心回帰現象のリスクがあるため、不動産投資初心者はまず都心部に投資することをお勧めします。
人口が増加している都心部は郊外に比べて空室リスクが低いので、きちんと立地や物件選びをすれば、安定した収益が期待できます。
ただ、郊外に比べて利回りが低いなど、都心部ならではの不動産投資の難しさもあります。
「都心回帰現象を狙って都心部に不動産投資したいけど、どのエリアでどんな物件を選べば良いか分からない」といった方が多いかと思いますので、都心部に不動産投資したいとお考えの方は都心部の不動産投資に強みを持つ不動産業者を複数社見つけ、その中から良きパートナーを見つけましょう。








