公開日:2020/01/30 最終更新日:2020/05/29

不動産投資家が家族信託をするメリット

不動産投資は長期間かけて着実に収益を得ていく投資方法ですが、いつまでも大家として賃貸経営ができるとは限りません。
時が経つにつれて体力は衰えますし、万一のことが起きて自分では賃貸経営ができなくなってしまう可能性もあるでしょう。

では、自分で賃貸経営ができなくなった時に備えて何をしておくべきなのでしょうか?
今回は不動産投資家が「家族信託」をするメリットをご紹介していきます。

家族信託とは

家族信託とは財産管理の方法のひとつで、信頼できる家族に財産を託して財産の管理・処分を任せる仕組みとなっています。
家族に財産を託すため気軽に利用できますし、家族という繋がりがあるため安心して任せられることが魅力です。家族が納得すれば低報酬、もしくは無報酬で財産管理・処分をしてもらえる事もできます。

なお、家族信託においては家族に財産を託す人のことを委託者、委託者から財産を預かって管理・処分する権利のある人のことを受託者、そして財産から生じた利益を得る人のことを受益者と言います。
委託者と受益者は以下のように同一人物となることも可能で、家族信託をする方は委託者かつ受託者であることも多くあります。

不動産投資家が家族信託をするメリット

①病気や認知症になった時にも不動産投資が続けられる

本人が元気なうちに家族信託をしておくと受託者に不動産の管理を任せることができるため、自分に何かあった際にも不動産を守ることができます。
不動産投資はいくつになっても続けることが可能ですが、本人が病気や認知症になった場合には賃貸経営の継続は困難になります。家族信託をしておけば、そういったリスクにも備えることが可能となるのです。

②二次相続以降の承継先を指定できる

相続には「一次相続」と「二次相続」があります。配偶者や子どもが相続人になることを一次相続、そして一次相続で財産を相続した配偶者が亡くなった時の相続のことを二次相続と言います。

遺言では二次相続以降の承継先を指定することはできないのですが、家族信託では信託契約を交わすことで二次相続以降の承継先を指定することが可能となります。
そのため、不動産を孫の代まで確実に相続することができるようになるのです。

③不動産の共有問題を回避できる

不動産を共有相続してしまいますと、共有名義の不動産を処分する際には相続人全員の同意が必要となり、相続人全員の同意が得られないとトラブルに発展しやすくなります。

しかし、不動産は現金のように分割して相続することが難しいため、共有相続はやむを得ないことです。
共有相続によるトラブルは様々なものがありますが、上記のような不動産の共有問題に関しては家族信託で受託者を一人決めておくことで回避することができます。
受託者は信託財産を管理・処分する権利がありますので、相続人全員の同意がなくても受託者の判断で不動産を処分することが可能になります。

家族信託にはデメリットも…

損益通算ができない

不動産所得は給与所得と通算できるため、不動産投資で赤字が出た場合には赤字分を給与所得から差し引くことができます。このことを損益通算と言い、大きな節税効果を発揮してくれます。
ところが、家族信託をすると信託財産の運営で赤字が出ても損益通算することができなくなるため、税金面でのデメリットが大きくなる傾向にあります。

受託者を誰にするかで揉める

相続人が複数いる場合、受託者を誰にするかで揉める可能性もあります。
家族信託では受託者が収益物件を管理するため、不動産投資に関する知識やノウハウがある程度なければ、経営が悪化するリスクがあるのです。
そのため、誰が受託者になるかで揉めることもありますし、受託者のずさんな管理に対して他の相続人が不満に感じることもあります。

身辺の保護をする権限はない

例えば、成年後見制度では財産管理に加えて身辺の保護をする権限があるため、本人の代わりに医療費や税金を支払うことができますし、介護サービス利用時には代理で契約を締結することも可能です。

しかし、家族信託は財産の管理・処分を受託者に任せる仕組みとなっていますので、受託者にそれ以外の権限はありません。
したがって委託者が認知症になってしまった場合などに、家族信託では成年後見制度のような身辺の保護ができないデメリットがあります。

家族信託は不動産投資向き?


家族信託にはメリットだけでなくデメリットもありますが、果たして不動産投資には向いているのでしょうか。
結論から言いますと、収益不動産において家族信託はほとんど選択されません。
実際には、家族信託よりも法人化をする方が圧倒的に多い傾向にあります。

家族信託では収益物件の運営で赤字が出ても損益通算がされないため節税効果が期待できないことや、受託者を誰にするか決める時に揉める可能性があることがネックです。

それと比べ、法人化すると「節税対策ができる」「家族が財産を運用できる」といったメリットがあるため、家族信託よりも法人化という選択をする方が多いのです。

法人として得た利益には法人税・法人住民税・法人事業税が課税され、個人の給与所得と通算する必要はなくなります。不動産を個人で所有している場合と法人で所有している場合で税率は異なりますので、法人化した方が節税になるケースもあるのです。
また、法人に個人の所有財産を移すことで相続税を抑えられるほか、家族を法人の役員にしてしまえば、法人の財産は家族が運用できるようになります。

まとめ

家族信託にはメリットだけでなくデメリットもあるため、家族信託をするかどうか迷われる方もいることでしょう。
今回は家族信託を中心にご説明してきましたが、収益物件を自分の代わりに運営してもらう方法、相続に備える方法は家族信託だけではありません。

賢く賃貸経営をしていくには不動産会社や税理士、行政書士など数多くの専門家に相談することが最善です。
今後の賃貸経営の方針についてお悩みの方は一人で悩まずに、一度プロに相談してみましょう。
 

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